Abstract
バイオクロッギング(bioclogging)は、土壌の間隙に微生物のバイオマス(微生物そのものと微生物が分泌する細胞外高分子物質のような物質)が目詰まりをする現象である。微生物のバイオマスは土壌間隙の水の通り道をブロックして、土壌中に一定の厚さの難透水層を形成し、水の浸透速度を著しく低下させる。生物的目詰まり(biological clogging)とも言う。 バイオクロッギングは、水が浸透する様々な現場で観察される。たとえば、ため池、浸透トレンチ、灌漑水路、下水処理場、人工湿地、廃棄物処分場における遮水ライナー、川床や土壌のような自然環境などである。また、透過反応壁 (PRB) や微生物利用石油増進回収法 (MEOR) などにおいて、帯水層における地下水の流れにも影響を及ぼす。適度な水の浸透速度を保つことが必要とされるような現場では、バイオクロッギングが問題となり、定期的に水を抜くなどの対策が取られることがある。一方で、たとえば、難透水層を作って浸透速度を低下させたり、地盤工学的性質を改善させたりするなど、バイオクロッギングが有効に活用されることもある。