1. 1) 引用文献5)を基に,引用文献6)〜9)では人間のなわばり形成を追求し整理したものが作成された。さらにその追跡調査をし,なわばり形成の経年変化の把握と,近年のなわばり行動・意識と共にその要因を明らかにしている 引用文献10)〜15)。 それら論文において,近年の入居・居住者では,路地における近所づきあいが少ないうえに,その必要性も感じていないことが確認できている。そして地域では,居住者の高齢化に伴い外出機会の低下することで,地域の共用空間の利用を低減させ,交流の機会が少なくなっている傾向を示す。また子供数と世帯人員数の減少,専業主婦の割合の低下も,地域空間に対する意識と共に自然監視という行為が少なくなり,防犯・監視等を低下させている。表出を設ける外部空間が無く,また窓無し・開き戸の居住形態の増加等の他,多数の建築計画要因以外にも,賃貸住宅や表札を掲げない匿名性の高い住居の増加,空き部屋(住居)・空き地も夜間照明・あかりが少なくなることにより,安心感を低下させている。これらは閉鎖的な意識に繋がっており,地域・生活環境に寄与する開放性が高まる意識とは対照的なものである。そのため,従来に比べて地域・生活環境が向上しているとは言いがたい。
2. 2) 総務省統計局(2022):人口推計,総務省ホームページ <https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html> でも示されているように,日本の人口は2008年をピークに(2年間はほぼ同程度),2011年以降は一貫して減少し続けている。
3. 3) 国土交通省 土地・建設産業局企画課(2017):空き地等の新たな活用-空き地等の利活用に関する先進的取組-:国土交通省ホームページ <https://www.mlit.go.jp/common/001220515.pdf>
4. 4) 国土交通省 不動産・建設経済局土地政策課(2021):空き地等の新たな活用-空き地等の利活用に関する先進的取組-:国土交通省ホームページ <https://www.mlit.go.jp/common/001295696.pdf>
5. 5) 引用文献3),4)において,空き地等に関する自治体に対するアンケート(平成29年2月,国土交通省)によれば,自治体の約62%が,今後10年間で現在よりその面積が「増加する」と回答している。またその結果から,地域内に空き地が多くなることにより,地域のイメージや活力の低下など,地域・地区全体への影響も懸念されている。