Affiliation:
1. 福井県立病院救命救急センター(Emergency and Critical Care Center, Fukui Prefectural Hospital)
Abstract
要旨【目的】夜間勤務の救急医による頭部MRI,CT,胸部X線読影の見落としが好発する時間帯と疾患の検討をする。【対象】2010年12月30日から2022年9月30日の18:00から翌8:00に福井県立病院救急外来で施行し救急医が読影した頭部MRI,CT,胸部X線において,翌朝の放射線科医の読影結果により見落としが判明し緊急受診を患者に促した症例が発生した時間と疾患を検討した。【結果】撮影画像100,361件のうち,対象画像は67,845件であった。見落としが生じ緊急受診を促した症例は54件(0.08%)であった。23時台に見落されている件数が最も多く,12件(22%)であった。見落としの多い疾患では,虫垂炎が7例と最も多く,次いで孤発性上腸間膜動脈解離5例であった。性別は男性18件,女性36件と女性に多かった。年齢は80歳台(11件)で最も多く,次いで40歳台(10件)に多かった。画像種類別においてはCTが45件で最多であった。撮影部位別においては腹部骨盤28件で最多であった。【結語】救急医による頭部MRI,CT,胸部X線における見落としは深夜の交代間際の23時台に最も多く発生している。撮影部位では腹部CTが最も多く,疾患では虫垂炎,孤発性上腸間膜動脈解離が多い。夜間に撮影された腹部CTでは虫垂炎,孤発性上腸間膜動脈解離に注意して読影を行うと見落としが防げる可能性がある。