外傷を契機に両側に生じた総大腿動脈内膜損傷の1例(A case of bilateral common femoral artery intima injury triggered by trauma)

Author:

晋也 上山1,彰太 中尾1,大資 根本1,賢治 日下部1,晋吾 安達1,哲也 松岡1

Affiliation:

1. 地方独立行政法人りんくう総合医療センター・大阪府泉州救命救急センター(Rinku General Medical Center, Sensyu Trauma and Critical Care Center)

Abstract

要旨症例は18歳の男性。約1mの高さから800kgのH型の鉄骨が骨盤部へ落下し受傷,当院へ搬送となった。両側の足背動脈の触知は微弱であり,左下腿は変形・腫脹していた。とくに,左足関節以遠の皮膚の色調は不良,かつ冷感を伴っていた。精査すると,安定型骨盤骨折と左脛骨骨折に加え,両側大腿動脈の血管の一部に壁不整および途絶の所見を認めた。左側優位の阻血徴候に対して,骨折の関与も疑い,両側の大腿動脈損傷に対する血行再建術と,左脛骨骨折に対する創外固定術を同時並行で行う方針とした。術中,両側の総大腿動脈(common femoral artery: CFA)の外膜に明らかな損傷はなく,内膜は両側ともに約20mm離断していた。大伏在静脈グラフトを用いた血管置換術を行い,足背動脈の触知と左足関節以遠の阻血徴候はともに改善した。術後,急性期の合併症なく経過し,後日リハビリ目的に転院となった。鈍的外傷を契機に総大腿動脈損傷の症例はしばしば報告されるが,血管の内膜のみに限局した総大腿動脈損傷の報告例は少なく,両側同時に損傷した報告例は過去にない。大腿動脈の内膜損傷における治療戦略は,一定の見解を得られていない。しかし本例のように阻血徴候を伴う場合,内膜損傷部の残存による血流不全のリスクを回避するため,自家静脈や人工血管を用いた血管修復術や血管置換術が求められる。

Publisher

Wiley

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