VA ECMOを導入した重度低温曝露性低体温症における多様な心電図変化と神経学的転帰(Various electrocardiogram changes and neurological outcome in patients with severe cold–exposure hypothermia treated with veno–arterial extracorporeal membrane oxygenation)

Author:

将樹 長間12,恒 鹿野12,祐貴 安武1,敬介 坂東2,晃生 遠藤2,広一 大西1,秀明 吉原1

Affiliation:

1. 鹿児島市立病院救命救急センター(Emergency and Critical Care Center, Kagoshima City Hospital)

2. 市立札幌病院救命救急センター(筆頭著者の長間将樹,共著者の鹿野恒は,現在,鹿児島市立病院に在籍している。)(Emergency and Critical Care Center, Sapporo City General Hospital)

Abstract

要旨【目的】体温28℃以下の重度偶発性低体温症は心停止で発見されることも多く,多彩な心電図波形変化を来すとともに搬送中に心停止に移行する救助時虚脱(rescue collapse)も発生しうる。これらの心電図波形変化とVA ECMO治療による転帰について検討した。【対象】2001年2月~2017年1月にVA ECMOを導入した低温曝露性低体温症34例を対象とし,低温曝露場所,初期心電図波形,rescue collapseの発生,搬入時体温,転帰を後方視的に調査した。【結果】34例中2例はbradycardiaの循環不安定であり,23例が心停止で発見され,rescue collapseを9例に認めた。VA ECMO離脱79%,生存68%,神経学的転帰良好59%で,rescue collapseの78%が神経学的転帰良好であった。発見時心停止症例の初期心電図波形別の神経学的転帰良好率はそれぞれVF 57%,PEA 100%,心静止 25%であった。【結語】重度低温曝露性低体温症ではrescue collapseを含め,多彩な心電図波形変化を呈するが,心電図波形がPEAや心静止でもVA ECMOを用いて救命されることも多い。rescue collapseを起こしうることを念頭において搬送し,低体温であることを意識した,平温時の心電図評価とは異なる視点での治療が必要と考えられた。

Publisher

Wiley

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