アトピー性皮膚炎を基礎疾患とし肺動脈弁感染性心内膜炎を発症した1例(A case of isolated pulmonary valve infective endocarditis with atopic dermatitis)

Author:

祐司 野田1,賢彦 海田2,知明 根田2,晃康 大津2,慧 吉川2,剛明 松田2,芳裕 山口2

Affiliation:

1. 都立広尾病院救命センター(Emergency Care Center, Tokyo Metropolitan Hiroo Hospital)

2. 杏林大学医学部救急医学(Department of Trauma and Critical Care Medicine, Kyorin University, School of Medicine)

Abstract

要旨 アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis: AD)は慢性皮膚炎であり,感染性心内膜炎(infective endocarditis: IE)など重症感染症の合併報告はコントロール不良なAD例であり,さらに肺動脈弁の孤立性IE報告例はない。症例は50歳代の男性,既往はコントロール良好な小児期からのADあり。手指消毒剤により指尖部乾燥が増悪していた。入院5日前に発熱し近医から抗菌薬を処方されたが,入院前日に体動困難となり他院へ搬送され敗血症の診断で入院した。翌日精査加療目的に当院へ転院した。来院時意識清明,呼吸循環動態は保たれていたが,40℃の発熱と右肘の発赤腫脹,前腕の有痛性浮腫性紅斑を認めた。血液検査で血小板が3.6万に低下しており敗血症と診断し広域抗菌薬を投与し救命センターに入室とした。入院後右肘穿刺液,左前腕筋間の膿瘍,血液培養からメチシリン感受性ブドウ球菌が検出されセファゾリンにて治療を継続した。入院15日目まで複数回の経胸壁・食道心臓超音波検査とCT検査では疣贅を認めず,ガリウムシンチグラフィーでも有意な所見を認めなかったが,入院33日目に施行した造影CT検査にて肺動脈弁の疣贅を確認した。血液培養陰性化後6週間抗菌薬を投与し,入院51日目に退院した。ADの既往のある菌血症症例は肺動脈弁領域のIEの可能性も念頭に繰り返し評価し考慮する必要がある。

Publisher

Wiley

Reference17 articles.

1. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021;日皮会誌.,2021

2. 心室中隔欠損症に合併した感染性心内膜炎により敗血症性肺塞栓症を起こした1例;谷口 浩和;日呼吸会誌.,2006

3. Serious Complications fromStaphylococcal aureusin Atopic Dermatitis

4. Skin barrier impairment correlates with cutaneousStaphylococcus aureuscolonization and sensitization to skin-associated microbial antigens in adult patients with atopic dermatitis

5. Endogenous Antimicrobial Peptides and Skin Infections in Atopic Dermatitis

同舟云学术

1.学者识别学者识别

2.学术分析学术分析

3.人才评估人才评估

"同舟云学术"是以全球学者为主线,采集、加工和组织学术论文而形成的新型学术文献查询和分析系统,可以对全球学者进行文献检索和人才价值评估。用户可以通过关注某些学科领域的顶尖人物而持续追踪该领域的学科进展和研究前沿。经过近期的数据扩容,当前同舟云学术共收录了国内外主流学术期刊6万余种,收集的期刊论文及会议论文总量共计约1.5亿篇,并以每天添加12000余篇中外论文的速度递增。我们也可以为用户提供个性化、定制化的学者数据。欢迎来电咨询!咨询电话:010-8811{复制后删除}0370

www.globalauthorid.com

TOP

Copyright © 2019-2024 北京同舟云网络信息技术有限公司
京公网安备11010802033243号  京ICP备18003416号-3