Affiliation:
1. 金沢大学附属病院救急部(Emergency Department, Kanazawa University Hospital)
Abstract
要旨70歳代の女性。先行する腰痛と意識障害,循環不全にて救急搬送された。著明な高血糖と脱水の所見があり,また,画像検査および血液検査,尿検査にて腰椎の気腫性骨髄炎と尿路感染,血小板減少の所見を認めた。尿路感染に起因する気腫性骨髄炎により糖尿病性ケトアシドーシスと高血糖高浸透圧状態,感染性の播種性血管内凝固を発症したものと診断し,集学的治療を行った。感染に対しては来院時より抗生剤投与が行われ,また,入院3日目に腰椎の椎弓切除ならびに椎間板の掻把が行われた。血液,尿,椎間板のいずれからもEscherichia coliが検出された。入院61日目の時点で,全身状態は安定したが椎体の感染に対して加療が継続されている。気腫性骨髄炎は稀な疾患であるが死亡率も高く,適切な全身管理ならびに抗生剤投与,必要時の迅速な外科的介入が必要である。