胸骨骨折および多発肋骨骨折に対してロッキングスクリューによるプレート固定術を行った前方フレイルチェストの1例(Locking screw plate stabilization of anterior frail chest caused by sternal fracture and multiple rib fractures: Case report)

Abstract

要旨　フレイルチェストは多発肋骨骨折や胸骨骨折によって生じたフレイルセグメントによって胸郭が不安定になり，奇異呼吸を呈して呼吸不全を生じる病態である。陽圧呼吸によるinternal pneumatic stabilizationが標準的治療で，外科的固定術を要する症例は稀である。症例は55歳の男性。交通事故によって多発外傷を受傷し，胸骨骨折と多発肋骨骨折による前方フレイルチェストを合併していた。Internal pneumatic stabilizationだけでは呼吸状態が安定しなかったため，胸骨に対してワイヤー固定，および肋骨に対してプレート固定を行った。それでも胸郭運動は不安定で呼吸不全が残存したため，胸骨および肋骨に対してロッキングスクリューによるプレート固定を行い，呼吸状態が安定した。文献による外科的固定術の適応や有効性の検討とともに，2度の外科的治療を要した前方フレイルチェストとして本症例を報告する。