Affiliation:
1. 北海道大学病院救急科(Department of Emergency Medicine, Hokkaido University Hospital)
Abstract
要旨【目的】Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation(VA–ECMO)の送血カニューレ抜去時に用手圧迫で止血を行った場合の,仮性動脈瘤が形成される頻度を調査した。【対象】2000年6月から2019年12月の間に当院に救急搬送され,入院中にVA–ECMOを導入した18歳以上の患者を対象とし,後方視的に検討を行った。ECMO導入中もしくは離脱後24時間以内に転院・死亡した患者,手術中のみECMOを使用した患者,カニューレ抜去時に外科的血管縫合術を行った患者は除外した。対象患者のカルテ情報を基に,VA–ECMO離脱後の仮性動脈瘤形成の有無を評価し,その頻度を調査した。また,仮性動脈瘤の形成群と非形成群に分け,患者背景,カニューレ径,ECMO導入期間,体外循環式心肺蘇生の割合を比較した。仮性動脈瘤形成例に対しては,その後に要した処置を調査した。【結果】142例が解析対象となり,そのうち6例(4.2%)にVA–ECMO離脱後の仮性動脈瘤形成がみられた。6例中4例は用手圧迫により仮性動脈瘤が消失し,1例は外科的血管修復術を要した。動脈瘤形成群と非形成群の間で,収集項目の統計学的有意差はみられなかった。【結語】当院において,VA–ECMOのカニューレ抜去時に用手圧迫で止血した場合,その後の仮性動脈瘤形成頻度は4.2%であった。