Affiliation:
1. 大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター(Department of Traumatology and Acute Critical Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine)
Abstract
要旨【目的】頭部単独外傷患者において頭部造影CT検査での造影剤の血管外漏出像が死亡や手術の実施と関連があるかを調査した。【対象】2010~2020年に当院へ直送された18歳以上の頭部単独外傷患者のうち来院時の頭部単純CT検査で頭蓋内出血を認めた患者を対象とした。主要評価項目を死亡,副次評価項目を搬入後から集中治療室を退室するまでに実施された脳外科的手術とした。これらと造影剤の血管外漏出像の関連をロジスティック回帰分析で評価した。【結果】解析対象患者は188例,年齢の中央値は65歳,男性123例(65.4%),死亡34例(18.1%),手術は91例(48.4%)に実施された。造影剤の血管外漏出像を認めた66例のうち22例(33.3%)が死亡し47例(71.2%)が手術を必要とした。血管外漏出像を認めなかった122例のうち12例(9.8%)が死亡し44例(36.1%)が手術を必要とした。造影剤の血管外漏出像の有無は死亡と関連しオッズ比3.5(95% CI: 1.4–9.1)であった。また手術の実施とも関連しオッズ比10.9(95% CI: 4.4–26.9)であった。【結語】頭部造影CT検査における造影剤の血管外漏出像は頭部単独外傷患者において死亡と手術の実施に関連があった。