Affiliation:
1. 八戸市立市民病院救命救急センター(Department of Emergency and Critical Care Medicine, Hachinohe City Hospital)
Abstract
要旨 症例は基礎疾患のない66歳の男性。前医で新型コロナウイルス感染症(COVID–19)と診断されて当センター紹介となった。SPO2 95%(室内気),CT検査で肺炎像は認めなかったが,CRP著明高値,高度腎機能障害,総リンパ球数減少を認めた。ステロイドは使用せず経過をみていたが,下血を繰り返し第28病日に多量の下血,出血性ショックとなったため造影CT検査を施行したところ,近位空腸に造影剤の血管外漏出像を認め,緊急手術で小腸部分切除術を施行した。病理組織学的にサイトメガロウイルス(cytomegalovirus: CMV)感染細胞が証明されたためCMV腸炎の確定診断となり,CMV–IgG抗体を保有していたことからCMV再活性化と考えられた。COVID–19によってサイトカインストームが引き起こされることにより後天的な免疫不全状態になることが報告されており,画像所見では説明のつかないCRP上昇や腎機能低下,総リンパ球数減少を認めた場合はCMV再活性化の可能性がある。COVID–19を診療する医師は,CMV再活性化を認知することが非常に重要である。
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