1. 1) 「電子回折」を「電子線回折」と表記する文献もある。「電子線回折」と表記する理由として,他の回折法との表記統一のため「X線回折」にならっていると考えられるが,元来の英語はelectron diffractionであり,electron beamが回折しているという解釈は物理的に誤っているので,本稿では「電子回折」の表記を採用する。日本物理学会や日本顕微鏡学会など,物理学系学会での発表の際には,無用な指摘を避けるためにも,「電子線回折」ではなく「電子回折」と表記するように筆者はお勧めする。
2. 2) S. Ino: Jpn. J. Appl. Phys. 16, 891 (1977).
3. 3) 「LEED像」「RHEED像」「回折像」と表記する文献をよくみかけることがあるが,diffraction patternは実格子空間ではなく逆格子空間をあらわしているのでimageではない。したがって「回折像」という表記は物理的に誤った解釈となる。本稿ではpatternの和訳として「図形」という表記を採用する。日本物理学会や日本顕微鏡学会など,物理学系学会での発表の際には,無用な指摘を避けるためにも,「回折像」ではなく「回折図形」または「回折パターン」と表記するように筆者はお勧めする。
4. 4) S. Kikuchi: Jpn. J. Phys. 5, 83 (1928).
5. 5) 三宅静雄:“電子線” (岩波全書,1953) pp. 191−224.