1. 1) 市町村合併や道州制のほか,ポスト平成の大合併期における新たな枠組みとして制度化された定住自立圏構想について,森川は,近隣市町村の自主的な協力を前提とする連携の考え方を地域政策として有効としつつも,具体例とともに詳細な問題点の検討を加えている。(1)森川洋『地域格差と地域政策―ドイツとの比較において―』古今書院,2012。また下平は,定住自立圏の目指す生活機能強化の例として,長野県と北海道の地域医療分野での連携に焦点を当て,中核病院や医師会等の地域医療資源の役割に言及している。(2)下平好博「定住自立圏と地域医療連携」明星大学社会学研究紀要32,2012,1–26頁。
2. 2) 例えば,神谷浩夫・梶田真・佐藤正志・栗島英明・美谷薫編『地方行財政の地域的文脈』古今書院,2012。
3. 3) 保険者とは保険運営の主体となる組織を,保険者地域とは保険運営の主体となる組織が管轄する地域を,広域保険者とは複数の市町村にまたがる形で保険運営の主体となる組織を意味する。
4. 4) 森によれば,広域連合は,国の政策実施に対応して国や都道府県の働きかけで結成されることが多いという。(1)森裕亮「基礎自治体間の事務処理連携とその課題」(真山達志編『ローカル・ガバメント論―地方行政のルネサンス―』ミネルヴァ書房,2012)207–228頁。佐藤も,自治体が主導して結成されることが想定されていた広域連合が国の介入によって半ば強制的に結成される場合が多いことを指摘している。(2)佐藤正志「行政事務の外部化―自治体のサービス供給と効率化の方法―」(神谷浩夫・梶田真・佐藤正志・栗島英明・美谷薫編『地方行財政の地域的文脈』古今書院,2012)39–60頁。
5. 5) 同じ保険者地域内でも,第1号被保険者ごとの所得水準の違いは各自に賦課される保険料水準に反映されるが,同一の所得段階であれば,保険者地域内の居住する地区によって保険料水準が異なることはない。なお,市町村合併の後に一定の期間のみ,旧自治体ごとに異なる保険料水準が賦課された例はしばしば見られた。