人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
完全埋込型人工心臓用経皮無線電力伝送方法の開発
―空芯コイルの効用について
阿部 裕輔藤正 巌井街 宏中島 正治満渕 邦彦鎮西 恒雄前田 潔折目由 紀彦浅野 雅広畑 博明保坂 茂河野 明正小野 俊哉渥美 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 16 巻 1 号 p. 212-215

詳細
抄録
完全埋込型人工心臓のために体外から体内にエネルギーを伝達する手段は, 感染等の問題を考慮すると無線的に行うべきである。今回, 空芯コイルを用いた完全埋込型人工心臓用経皮無線電力伝送装置を試作し, その性能を分析した。結果は, 共振型の一次コイル駆動装置を用いて, 巻数30回の一次二次コイルにて25W以上の電力伝送が可能であった。効率は, DC to DGにて約78%であった。また, サーモグラフィーを用いた動物実験にて, コイルの温度は皮膚熱傷の起こる温度まで上昇しないことが確認できた。以上より, 空芯コイルを用いたことにより, 有芯コイルで問題となった皮膚熱傷の問題が解決でき, さらに伝送効率の向上も可能であった。コイルの生体適合性に関しては, エポキシ樹脂にてコーティングしたコイルを家兎皮下に約10ケ月埋め込んだ場合, コイル周辺に形成されたカプセルは薄く, 組織反応は軽度であった。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top